HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 12

やあやあ久しぶり。

今日辺り布団とクレヨンが出来上がりそうだよ、これも祝い事かな?

数日前に繊維状にした竹繊維とクレヨンもどきはここ数日天日で乾燥させてた。
あとはその間に縫い上げて貰った袋状にした布に詰めるだけだ。
まあ、これだけで家族が風邪をひく可能性を減らせるんだったら安いものだ。
けどもうやりたくはない。
あれを解すのはかなり大変だった。
水車の動力で動いて勝手に臼をつくようにしたり、こっちは作り方思いつかないけどプレス機とか欲しい。
もしあればもっと楽に作れたのに。

まあ俺の分はもうできてるし、いいけどね。
そもそも水車を作れるほど俺は器用じゃないし、誰かに作って貰うにしてもそんな金ないし。

そんなわけでもう俺には関係ない事柄について考えつつも、日干し具合を観察する。

両方ともいい感じだ。

竹布団の方はあとは持ち主に合わせた趣味の布で包んで貰えば完成である。
正直言ってそっちはもう興味がないのでそれぞれ付きの人に押し付けることにする。

俺の興味の先は、もはやできたばっかりのクレヨンのみだ。
なんとなく混ぜたらできそうだと思った物を混ぜただけの代物である。
出来が非常に気になった。
きちんと固まっただろうか。
恐る恐る竹を取り外して中身を確認する。

色々と不安要素はあった物の、とりあえず黒い物体はできたみたいだ。
あくまでも、黒い物体だが。
紙は遊びに使えるほど安くないのでその辺で拾ってきた木切れに試し書きをしてみた。

結果としてはなんというか。

書くことはできた。

できたんだが。

調子に乗って力を入れたら折れた。
そりゃ、蝋の強度を考えて、さらに色々混ぜ物したから脆くて当然だよなとか思ったけど。
期待が大きかっただけに地味に凹んだ。

そういえばクレヨンって折れやすかったよな。
若干下がったテンションでしばらく考えた結果、固めるのに使った竹を再度固定して、余ってた竹繊維で縛って使うことにした。
イメージ的には、あれだ。
コンパスに取り付けてた芯みたいな?
最近は鉛筆を付けるタイプも出てきてたし、まだあるのかは謎だけど。

まあ、これなら多少の振動には耐えれるだろうし。
ついでに手が汚れないように古布でも巻くかと考えてたことも解決したし。

肝心の撥水性に関してだが。
油と蝋の相乗効果か、結構な性能を発揮してくれた。
普通の墨みたいに染み込んでるわけじゃないから、紙に書き付けた場合は色落ちの問題とかもあるけど。
けど木とか、高級じゃない、逆に粗雑な紙なら表面の凸凹に入り込んで使い道があるかも。

現に木切れに書いた跡は水で洗い流してこすっても結構残ってた。
きちんとできるか不安だったけど、これは案外成功したかもしれない。

今度は他の色も作ってみよう。
ちなみに試作品は寅が欲しがったのであげた。
まだ作れるしね。

その晩は再び父上に呼び出されて竹布団の感想を聞かされた。
藁を使わなかった理由とか聞かれたので、適当に藁は他にも使い道が云々誤魔化しつつ話したら褒められた。
うん、ぶっちゃけ、金がなかったってのが一番大きかったんだけども。
さすがに息子に金がないって言われたら父上可哀想だし。


父上の部屋からの帰り、寅の部屋の前を通りかかった。
ちょうど部屋の入り口になる辺り、障子の正面の廊下に寅のサインを見つけた。
持ち物に全部名前を入れる子供って・・。

現実逃避に走りたくなる気持ちを感じつつも、俺は何も見なかった。
けして今すぐ対処するのが面倒だからではない。


あとでタワシを作らないといけないかな。
あんな簡単な構造をしてるのに、悲しいかなこの時代にタワシはないのだ。


落ち着いたらまた連絡します。

本編 13へ

表紙へもどる
分かれ道へ戻る
保管庫へ戻る