HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 18

やあやあ久しぶり。

やっと部屋が片付いたよ、労わってくれ。

やってみると意外に面倒だったんだ、引越し。
俺の部屋から持ち出す物っていってもたかが知れてると思ってたんだが。

案外これが大変だった。
着物とか、生活面での持ち物は乳母がやってくれたんだけどね。
厄介だったのが薬草関係だよ。
調子に乗って引き出しを付けまくった机があることだし、部屋も広くなったから分別し直そうかなと思ったのが運のつき。
一度始めちゃうと中途半端に分類方法が違うのも気になって仕方ないし、もう一度すべて分類し直したよ。

今度からもう少し考えてから引越しとかしようと思った。
まあ俺の場合、強制ニート人生は決定してるからどこに移動することになっても屋敷の中のどこかだけどね。


片づけが済んでから離れの中を見て回ったけど、ここって結構広いかも。
まあ比べてるのが前の俺の部屋だった母屋の一室なんだから、大抵は広い部屋になるかもしれないけど。
少々手狭だけどいくつか部屋もあるし、こっちはこっちで一つの家みたいだ。
意外だったのが井戸とか調理場って言うのか?釜戸とか付いてるし。
厠がこちらにもあるのは良いとして、風呂までこっちにあるよ。
風呂って行っても湯船じゃなくて蒸し風呂だけど。

母屋まで入りに行かなくても済むのは良いとして、これって土岐と乳母に面倒を増やしてしまっただけなのかも。
けど母屋まで入りに行くと多分帰りに確実に体が冷えるよな。

しばらくは母屋の方に通ってもいいけど、冬とかは厳しいよなあ。

現代育ちゆえの価値観ゆえか、あんまり人の仕事の邪魔したり、手間を掛けさせるのは苦手なのだ。
だってさ、俺の我侭聞いたり仕事が増えたってボーナス出ないんだぞ?
どれだけ働いても給料は同じって、どこの社会主義国だよ。
労働には相応の対価が支払われるべきであると思うね。

まあ俺は彼らがどういう形で給料を貰ってるのかは知らないけど。
奉公って先払い制の衣食住保障だったっけ?
お年玉を主人から貰った話を現代で聞いたような気も・・・。
いや、米で現物支給だっけ?
もうよくわからん。


けど結局は手間を増やしてるし、もう少し考えるべきだよな、やっぱり。

あ、ちなみにわざわざ父上の部屋の前を通って邪魔するのもなんだし、離れの端にある裏門を開放して貰うことにした。
門って言っても、本当に普通の木戸だけどね。
表門に比べれば門って呼ぶのもおこがましいサイズだけど、俺にはこれで十分だし。
むしろ、最近気になってた視線の中を表門まで歩かないで済むからそこは良かったかも。

問題はどこから出るにしろ、誰かしら一人付き合って貰わないと外に出れないって事なんだよな。
土岐はいつも一緒にいるけど父上と前に約束した、「大人のお供」じゃないし。
と言うか、約束がなくても子供だけで山になんて入りたくない。
いつぞやの寅の時は非常事態だったし。

なんせこの時代まだ山賊とか狼とかいますから。
山賊の方は、最近出たって話を聞かないしまだ気にしないで良いかも知れないけど。
逆に大人の人間、特に成人男性が一緒にいれば子供だけじゃ怖い狼もしっかり送り狼になる。

男は狼、送り狼にご用心、の語源になってるあの送り狼である。

だがしかし、本来送り狼は、用心深い狼がテリトリー内に侵入した侵入者を見張ってるだけなのだ。
その間は猪や熊なんかの、出くわすともっとまずい動物は狼の臭いで逆に避けてくれる。
テリトリー内に出るまできっちり送ってくれるから送り狼、なのである。
まあ弱ってたり、弱いと判断されれば集団で襲われるけど。

まあ、だからこそ山に入るには大人の人手がいるんだが。
いつもは適当に、門まで行く途中で比較的手の空いてそうな人に頼んでいた。
けど今度からはそうもいかないし、優先的に俺の供をして貰う人間を父上に頼まないといけないかもしれない。
いつも同じ人物なら呼び出して貰うのも手っ取り早いし。

いくつか父上に相談しないといけないことができたな。

落ち着いたらまた連絡します。

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