HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 22

やあやあ久しぶり。

怪我をした猫だと思ったら痩せた子供を拾ったよ、とりあえず労わりの言葉が欲しいな。

自分から拾ったんだけど、さすがにあれは驚いた。

とりあえず、怪我をしてるのは同じだったから、喜一君に運んで貰って手当てすることにした。
結局、丸一日位は寝てたかな。
起きた時は口を開く前に腹が鳴ってたよ、かわいそうに。
結局そのまま夕飯にして、話を聞いたのは次の日だったんだけど。

話を聞いてびっくりしたよ。

事故で両親を亡くして、せっかく生き残ったのに今度は乗り込んできた親類に家を追い出されたらしい。
土岐と同じ位の年に見えるのに、その体は痩せて棒みたいだ。

山に入り込んで飢えを凌いでたらしいけど、たまたま屋敷の近くに出てきた時に俺が猫と間違えて餌付けしてしまったわけだ。
猫と間違えたのはちょっと失礼だったけど、結果的にそれが彼を救うことになった。
そのまま山の中で弱っていたら狼の餌食になっていただろう。
ある程度までは育っていたことと、俺に出会うまではそこそこは動けたことが狼に襲われなかった理由だ。
それでも綱渡りだったことは違いない。
ただでさえ痩せていたのに、もし山の中でふらつきでもして、弱ったと認識されていたらと思うとぞっとする。


そして何であれ、俺は彼を拾ってしまったのだ。








責任は最後まで取らないといけない。
話し疲れたのか、再び眠ってしまった彼を残して俺は父上の部屋に向かった。



「父上、子供を一人預からせて欲しいのですが。」



あとから考えたら、まったく子供らしくないおねだりである。

結果としては、意外とすんなり許して貰えた。
家と関係ない友人が欲しいと言ったのが効いたのだろうか?
何にしても、お許しが出て良かった。
最悪はお子様の最終手段、泣き喚きしかないかと思っていたのだから。

形式的には、俺の保護下ということにするそうだ。
俺みたいな子供の保護下っていうのも複雑だと思うが、そこは我慢して貰うしかない。
せっかく許しが出たのに、余計な部分をつつきたくはないのだ。

さて。
とりあえずは、次に彼が目を覚ましたら名前を聞くことから始めよう。
彼の話の内容が衝撃的過ぎて、名前を聞いてないことを父上に聞かれて思い出したよ。

せっかく学んだ知識でもあるし、この機に使わない手はない。
趣味も合わさって集めた薬草だが、意外な所で役に立つことになりそうだ。
しばらくは彼も薬湯の味に悩まされることになるだろう。

本当なら本職の薬師に頼みたい所だが、あまり優遇して彼に対して余計な注目が集まることは避けた方が良い。

ここに残るにしろどこか当てがあるにしろ、どちらにしても当分は彼を太らせることに気を揉みそうだ。



落ち着いたらまた連絡します。

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