HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 35

やあやあ久しぶり。

思わず拾って帰ってきてしまったよ、手伝ってくれ。


屋敷に帰り着いた俺達は、帰って早々火を焚くと子供達を風呂に放り込んだ。
ちなみに喜一君が風呂の支度で彦が着物の用意、土岐と乳母は風呂で待ち構えて全員まとめて丸洗いである。

そして俺はそのまま父上に会いに行ったのだ。

彦の時はまだ普通に対処してくれた父上だけど、さすがに一気に5人、しかも彦がすでにいるのに拾って来るとは思っていなかったみたいだ。

けれど、俺にも退けない理由がある。
それは彼らが橋の下なんかにいた理由なんだけど。

子供が大人の保護下にいない理由はいくつかある。
彦みたいに親を亡くした後に、面倒を見てくれる相手がいなかった場合。
住んでいた場所が村とかだった場合、村全体で面倒を見てくれる場合もあるそうなんだけど、町中や旅先、もしくは旅の行商なんかで親を亡くすと悲惨である。
他には貧しくて口減らしに捨てられた子供。
この場合は、山の中に捨てられなかっただけまだ愛情が残っているんだろうけど。
場合によっては、貧しさから養子に出された先でなんらかの理由で冷遇されてしまったり。
奉公に出たものの、逃げ出して来てしまったなんていう場合もある。

大人ならば仕事を見つけることができても、子供にできる仕事なんて限られている。
山菜を取って売ったり、道に落ちている金屑や使える物を拾って仕事にしたり。
それにどうにか食いつないでも、今度は住む場所に困ることになる。

それであんな場所に居たのだ。
人数が居ればお互い助け合い、寒ければ体温を分け合ってどうにか生きていける。

出会ったのは偶然だが、それでも俺は見てしまったのだ。
何度も言うが、俺は捨て猫や捨て犬を見つけると見捨てることができない。

良くも悪くも、人は自分の好きなようにしか行動できないのだ。
身勝手ではあるが、罪悪感に苦しむ位だったら拾ってから後悔した方がまし。
偽善でも役に立てばめっけもん、である。

というか、中身の年齢は高い俺から見たら、子供が生活に困って苦労しているなぞ論外なのである。
幸い、許可さえ貰えれば現在の俺ならどうにか彼らを食べさせる位はできそうなのだし。

そういう訳で急遽、見つけた子供達を引き連れて屋敷に帰って来たのだ。









しばらく黙って考えていた様子の父上だが、いくつか言葉を交わすとようやく彼らの世話をすることを認めてくれた。

まあ、俺に退くつもりがなかったのだから、ある意味当然の勝利なのだが。
話の内容は彼らを拾った経緯や素性、今後の身の振り方なんかだ。


とりあえず、必要最低限の話だけすると早めに帰ることにした。
いくら彦達に任せていると言っても、初めて来た場所で不安だろうと思ったのだ。

とりあえず、つい勢いで連れて来てしまったが、本来俺達しか住んでいないので色々と足りない物が多い。
生活に必要な物なんかを考えつつ、離れへと急いだ。




落ち着いたらまた連絡します。

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