HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 36

やあやあ久しぶり。

子供は笑ってるのが一番だよね、そう思うだろ?


思わず拾ってきてしまった子供達だけど、今まで自分達だけで生活してただけあってしっかりしている。
あの日見つけたのは全部で五人。
年長の子供が土岐や彦と同じ位、小さい子だと俺より小さい子供もいた。
俺が今、数えで5歳。
実年齢で4歳ってことは多分3歳位じゃないだろうか。
まだまだ誰かの庇護が必要な年齢だろうに。

つれて帰ってきた当日は疲れからか、満腹になると倒れる様に眠りについた。
翌日に起きてきてからは、やっと事態を把握してきたのか、不安そうにしていたが。
わざわざ連れて来たんだから、放り出すような真似はしないというのに。

しばらくは俺達にも慣れない様子でおどおどしていたが、最近やっと慣れてくれたのだ。
拾ったばかりの時の彦ほどではないけれど、まだまだ痩せている。
もっぱら、最近の食事は彼らに合わせて栄養をたっぷりと摂れるメニューになっている。


離れの朝は早い。
乳母や喜一君は朝から仕事があるし、土岐は午前中、俺が机に向かっている間は剣の稽古をしたりしているらしい。

俺や彦は、彼らに比べると少し遅い時間に起きて庭に出る。
彦も一緒に行動するようになると、説明が上手くできそうになかったことから、太極拳もどきではなくラジオ体操をするようになっていた。
たかが体操、と馬鹿にもできない。

実際、きちんとこなすと全身運動になるのできちんと目も覚めるし健康管理にも役立つ。

それが済むと朝食を食べてから勉強に取り掛かるのだ。
文字を練習したり、彦に勉強を教えたり。

午後からは薬草の分別をしたり、採取をしたりしている。


子供達を引き取った後でも、それは変わらない。
変わったことと言えば、少し前から子供達がカルガモの雛のように後を付いてくるようになったことだ。

自分たちを拾ったのが俺だということをわかっているためか、一番年下のはずの俺が一番上の立場に居ることが不思議だったのか。
しばらくは、ずいぶん余所余所しい態度をとられていたものだ。
硬い表情の子供達を、内心では心配していたので随分と安心した。
拾って来た猫なんかは、自分から近づいてくれる様になるまで放っておいたほうが良い。
猫と比べるのは違うだろうけど、彼ら自身で俺が自分達に害をなさない存在だと認めなければ意味がないのだ。
しかしこれで一安心。


警戒した猫みたいだった彼らも、今では打ち解けてくれたようだ。

特別、彼らに課している仕事なんかがあるはずもなく。
離れやその庭から出なければ、自由に行動していいと言っておいたのだが。
離れのあちこちにある、俺の作った便利グッツを見つけては説明をねだり。
弄り回しては歓声を上げる。

俺や彦のあとを付いて回っては、大騒ぎなので俺も彦も苦笑しきりである。
子供に付き合うのは、案外気力と体力がいる。
ついに昨日は勉強の時間にも押し掛けてきた。

いやはや、子供の好奇心というのは時々こっちがびっくりする位だね。
体力も戻ってきたようだし、良い機会だったのでこいつらにも文字を教えてみようと思う。

決して、自分よりも字の下手な人間が欲しかったわけではない。



落ち着いたらまた連絡します。

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