HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 43

やあやあ久しぶり。

なぜか寅が川に落ちてたよ、拾ってやってくれ。


予想外になぜか川に落ちてた寅。
突っ込み所は多々ある。

屋敷で稽古じゃなかったのかとか、稽古を受けている割に、なんで子犬に負けているんだとか。

ちなみに、子犬は少し前に山で拾った。
親とはぐれたのか、随分腹を空かせていた様子で歩いていたのだ。
この前の猟師さんの怪我のこともあったし、放置されている罠でもあったら危ないので見回りをしていたのだ。
古い罠でもあったら解除しておかないと、うっかり掛かると怪我をする。

そんな時に、茂みから出てきたのだ。


最近、俺って拾ってばっかりだ。
拾い物の女神に、熱いラブコールでも受けているのかもしれない。
もしくは出会いの神様とか。

さいわい、ギリギリ乳離れできていた所だったらしく、俺でも餌を用意することもできたし。
今では俺を親だと思っているのか、寝る時も一緒である。

先ほどまでは俺の周りでちょろちょろしていたのだが、なぜか寅と一緒に川に落ちていた。








なぜ寅が川に落ちていたかというと、なんのことはない。
単に、稽古を抜け出してやってきた寅が、ちょうど川の上の道を通りかかった所に子犬が食いついたのだ。

なぜか、この子犬は俺や離れの人間、子供達以外には懐かない。
言い聞かせて匂いを覚えさせれば吠えはしないものの、どちらかというと嫌っているのだ。
俺の兄なんだから匂いも似てないものか、と一瞬考えたが、どうやらそういうことはないらしい。
なんだか相性が悪そうだ。

かと言って、川辺に取り付けた仕掛けを壊されても困る。

子供達の力仕事を減らす為、水車で回す洗濯機もどきなんかも設置してあるのだ。



壊されないうちに早々に引き離して、濡れた寅を乾かす為に早い所戻ることにした。

帰り道でも、俺にべったり付いていたかと思うと、寅の周りを小馬鹿にしたように歩き回る。
寅も寅で、さすがに本気で怒ることはしないものの、あからさまに邪険に子犬を追い払っていた。

鶏とは仲良くやっていたのに、なぜだろう。
犬が嫌いなんだろうか。

不思議に思って聞いてみると、今日も寅の薬草便を届けに来た所だったらしい。
せっかく持って来たのに、川に落としてしまったのがよほど残念だったようだ。


落ち着いたらまた連絡します。

本編 44へ

表紙へもどる
分かれ道へ戻る
保管庫へ戻る