HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 51

やあやあ久しぶり。

考えることが多いよ、労わってくれ。


あれから俺は旅立って行った子供達が、現地で快適に過ごせる様にと頭を悩ませている。
過保護だって言ってくれるな。
俺にだって多少の自覚くらいはある。

けど、俺が一番よく知ってるんだ。
今まで当然として受け入れていた生活ができない違和感というか、苦労が。
不便なのは仕方がないってわかっていても、本当に慣れるまでは時間がかかる。
おまけに無意識に疲弊してストレスになる。


俺の場合は時代の違いっていう、完全には解決できない問題だけど。
子供達の場合は違う。
遠方にいても、同じ国であり同じ時代なんだから。






と言っても、こことは地理も違うし、まったく同じようにはできないんだけど。

元々は蜜が欲しくて始めた養蜂。
それが意外な所で役に立つこととなった。

薬草水を蜜蝋と混ぜれば、基本的なものでしかないが、薬用クリームができる。
現代で過ごしていた時、なんとはなしに仕入れていた情報が意外な所で役に立つものだ。

作ったクリームは、それぞれ香りに重点を置いたものや効能に重点を置いたもの何かで種類を作った。
日持ちする種類の薬草水はそのまま封をして運ぶことにする。
ただし、そのままと言っても蜜蝋を塗り込めた布で蓋をするからおかしな成分が入り込んだりもしないし、密封性も高まる。
薬草水だけだと長持ちしないし、山間に存在するこの周囲と違って、別の土地に移った子供達には保湿クリームのほうが役立つだろう。
なんと言っても日持ちがするし、多少空気が乾燥していても悩まされることはない。

あとは、乾物関係と味噌、ああ、燻製も入れておこう。
卵は・・・厳しいか。

どう考えても、タンパク質が足りないよなあ。
定期的に猟師さんが肉を補充してくれる玉兎寮じゃあるまいし。
肉は口に入りずらくなるんだろう。
しばらくは豆腐を多めに食べるように、手紙に書いておくことにしよう。

ああ、薬草を漬け込んだ、特性「のど蜂蜜」も送らなくては。
なんでわざわざ蜂蜜なのかというと、その方が使い道が広がるから。
蜂蜜にも効能があるから、いざとなったら別の使い道もできるし。


子供達の新天地は、一定区画ごとに設置した滑車のおかげで、すばやく荷物の運搬のできるこちらとは違う。
荷物を運ぶには陸を辿るか、滑車なしで船を使うしかない。
なので、運ぶのに時間が掛かるのだ。
鮮度の下がりやすい物は送ることができない。

商売としてならともかく、あくまで仕送りなのでそんなに大掛かりにすることもできないし。
さすがに子供達への届け物のためだけに、そんな大掛かりな仕掛けを作るわけにはいかない。
いくら俺でもそんな勝手な真似はしない。
そもそも、下手に大金を使うと、子供達を養えなくなるかも知れないじゃないか。
大黒柱は、引き際も心得なくてはいけない。


ああ、子供達よ、お父さんはこんなに心配してるぞ。


落ち着いたらまた連絡します。

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