HOME > 兎穴の分かれ道 > 保管庫 > 早く隠居したい~マヨネーズを目指して~ > 本編 9

やあやあ久しぶり。

今回は祝い事ってわけじゃないんだけどね。

最近は一度吐き出したら箍(たが)が外れてしまったのか、あれから母上はには月に一度くらいの頻度で呼び出されて小突かれたり小言を言われたり愚痴を零されたりしてるよ。
俺の中身が俺だったから良いけどさ、これが普通の子供だったら精神の発達に影響を及ぼして将来のお家騒動の禍根を残す位はしそうだ。

まあ母上もストレス溜まってそうだし、話を聞く位は良いけどね。
こう見えても精神年齢では軽く両親を超えてる俺ではあるし。
いたいけな少女が腹に溜め込んでるのも良くないし。

しかし痛くはないけど扇の先で突かれ続けてると将来の俺の頭皮が心配だ。
まさかこの年で禿の心配をしなければならない人生を送ることになるなんて。

あれから母上の心労を減らす為と俺の希望が合わさって今の時点でできる範囲の手習いを増やすことにした。
まだ体が小さいから武術関係は無理だけど。

差し当っては教養関係とこの前の寅みたいなことがあるから薬草関係もできるだけ習うことにした。
父上に頼んで見せて貰える様になった薬草の本だけどこれはどこまで信じていいのやら。
正しいものが多いんだろうけど現代みたいに成分検査しての効能じゃないだろうし、西洋式医学の入る前の薬って逆に毒が薬として載ってる事もあるから怖いんだよな。
知ってる範囲のあちらの知識は概ね信頼しても大丈夫なんだろうけど、普通の人間は漢方やら薬草の効能なんて知らないっての。

あんまりやりたくないけど動物実験しかないか。
まさか実際に人で試すわけにもいかないし。
犬、猫、鳥、魚。
どれがいいんだろ。
鳥だと心が痛むから魚にしようかな。
どちらにしても気が進まないなあ。
一定量食べさせてみて怪しげな症状が出た物は実地で使った実体験が聞けるまでは使わないようにすれば平気かな?

あと庭師にも話を聞きたいし、薬師の話も聞きたい。
ヤマゴボウの毒性なんて昔身近に接してたからたまたま知ってただけだし、毒草位は早めに把握しておかないとまたうっかり寅が死にかねん。
俺はその辺のものを口に入れたりなんかしないけどあいつはまだ正真正銘の子供だからまた変な物を食べないとも限らない。
困ったもんだ。
筋肉馬鹿の寅のことだから覚えないだろうし、持ち歩きできるようにまとめた方ががいいかなあ。


何で俺まだ幼児なのにこんな頭を悩ませてるんだろう。
地味にヘビーな人生を送ってる気がする。
まだ体力がなかったり家から出られない上に字が読めないせいでできてないけど俺にだってやりたいことあるのに。
他に優先でやらなきゃいけないこととか多くて未だに何にもできていない。

落ち着いたら色々やりたいことはあるけど、とりあえず真っ先に改善したいのは布団。
ふかふかな布団が欲しい。
俺がしょっちゅう熱出すのって布団が薄いせいだよ、絶対。
泣きたくなるほどぺらっぺらだし、おまけに汗をかいても手拭いで拭くかもしくは蒸し風呂しかない。
夏なら水浴びでもいいけど、井戸水って死ぬほど冷たいからうっかりすると風邪をひくし。
湯船が恋しくて仕方ないよ。


落ち着いたらまた連絡します。

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